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2010年9月 3日 (金)

ルバイヤート

太宰治の著作権がきれたので、ちょうど、宮沢賢治のときのように、関をきって、雪崩のように、出るわ出るわ、コミックから映画まで。やっぱピカレスクなのかなあ。かつて、とある有名劇作家の愛人やってた女優がいったね。「私は悪人のほうが好き。だって、悪人のほうが断然、魅力があるもの」んで、その後、結婚されたのは善人だったのか悪人だったのか、おらは知らない。・・・しかし、古屋兎丸の『人間失格』には、脱帽です。このひとのコミック、以前、何か読んで、そのときも驚いたんだけど、さすが新潮社(太宰の最たる版元)、たぶん、脚色がみごとだから、編集者もいいのだと思われる。2巻までだが、『ルバイヤート』を持ち出したのにまた仰天。太宰を読んだのは40年前だから、記憶がさだかでないので、原作に出てきたかどうか。太宰は、「相対化」もしくは「対象化」するのに時間もかかる。そう出来なくて終わるひともいる。ともかくも、短編は、海外文学ですら、追随をゆるさない。ところで『ルバイヤート』、古屋さんのには、「ままよ、どうあろうと」の(84)が使われていて、

恋する者と酒のみは地獄に行くと言う、

根も葉もない戯言にしかすぎぬ。

恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、

天国は人影もなくさびれよう!

である。ちなみに、「解き得ぬ謎」から、かましてくれるぞ。(2)と(3)をみてみよう。

(2)

もともと無理やりつれ出された世界なんだ、

生きてなやみのほか得るところ何があったか?

今は、何のために来たり住みそして去るのやら

わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!

(3)

自分が来て宇宙になんの変化があったか?

また行けばとて格別変化があったか?

いったい何のためにこうして来たり去るのか、

この耳に説きあかしてくれた人があったか?

しかし、古屋兎丸さんの『人間失格』は、ちょっと女性がステロタイプ過ぎます。そのあたりだけは不満。脚色は、いいのよ。

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