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2010年9月 5日 (日)

映画感想『BECK』

公開初日。であるのに、大津のシネコンの最も大きなスクリーン(400名収容)には、10人ほどしか観客がいない。18時45分という上映時間のせいですかね。まるで、この映画の内容そのままだ。・・・さて、144分のこの青春ロック映画、ふつう、映画は1スジ・2ヌケ(ヌキ)・3ドウサといわれるのですが(スジは脚本、ヌケは演出・・映像、ドウサは役者・・演技)わたくしでも、スジなら書ける程度のものだ。ハロルド作石の劇画が原作なので、4~5回改稿すれば、なんとかなるでしょ。しかし、ヌケはそうはいかない。映像演出もてがける堤(天才)幸彦監督は、こともあろうに、最も重要であるバンドボーカルのボーカルの歌声を、まんま、三度にわたって、映像イメージでみせてしまうのだ。こりゃ「観音さま(音を観る)」だ。ふつう、これをやると、うまく逃げたなとか、狡いとか、けしていい評価は出ないのだが、ここがおそらくこの映画の勝負のしどころ、監督としての、命のかけどころ、であったのは間違いなく、私は、この聞こえない歌声を映像イメージと、バンド仲間の表情、観客の視線などから否応なく想像させられて、胸が詰まり、嗚呼、落涙。よかった、演劇やってて。映画なんてやってたら、まず追いつけないだろうからな。(演劇では、私がかなわない、追いつけないと判断しているのは「維新派」だけだから)。堤監督は、撮りながら、同時に編集作業もやっていくらしいのだが、これがまあ、飄々と意表をついて、やられてみると、それしかナイてなカメラワーク(映像)が飛び込んでくる。・・・さて、キツネ小学校のみなさん、今日は、みなさんのココロに留め置くタイセツなことがあります。それは、出演者が、みんな、主要メンバーはもとより、どんな隅っこに映っているひとも、みいんな、いい顔をしていたことです。いい顔というのは、思い出になる顔のことです。・・・これは舞台の演出をするときも、私自身、最も心配りしていることなのだが、そうはうまくいかない。いやあ、しかし、まいりましたね。堤監督は、『恋愛写真』にせよ『さよなら日本』にせよ、そういうマイナーな作品を名作にしちゃうんだけど、そういうのに限って、観てるひと少ないのよね。で、『20世紀少年』なんて、撮ってもいない(らしいぞ。ほとんど、クレジットだけみたい)で酷評されてねえ(観てねえけど)。この映画のラストシーンのように、映画館の観客席がどんどん埋まっていくことを期待してますわ。

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