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2010年3月17日 (水)

脳の仕事

ホテルでも、いつもと同じ七時半に起きて、モーニング(680円)を食い、それから近所の松本城に出向いた。松本演劇祭というのが、バブルの時代に毎年あって、私の劇団は二度招聘されている。一度めは松本城の前の空き地だか芝生だか、とにかくそういうところで『寿歌西へ』を上演した。あんときは、突然の突風に楽屋にしていた仮設テントが飛んだが、それでも最後まで弁当を離さず食っていたのが、小林正和だ。総員退去というときに、ただひとり、テントに残って、こいつは死ぬまで弁当は離さない覚悟だなと、思わせた。その、空き地だかなんだかは、整備されていて、人工の道と人工の芝生に木が植えられ、「芝生の中には入らないでください」があって、なんだか、ちっともオモシロクねえなと、朝から気分は滅入った。こういうのは人間の脳の仕事だ。きちんとsectorに整備して、みかけはキレイになる。ほんとうはごろ寝して、松本城が観られたあのときのほうがココロの仕事だったな。たとえ、作られた道でも、道になっちゃ、歩かなきゃならない。道でごろ寝は出来ないもんな。ああ、つまんねえ、と、それと寒かったので、敷地にある博物館に入って、石油ストーブにあたっていた。私は博物館なんてのには何の興味もナイから、あったまると何も観ないで、出た。あんなのは埋まっているのを観るのがオモシロイんだろ。ガラスケースに陳列されて、ちっとも何にも語りかけはしない。昼飯までは時間があるが、ともかく、馬肉で一杯やりたいのココロだな、と、そんな店をぶらぶら歩いて捜した。閉館した映画館があって、それから、そのような建物があって、そこで、東京から竹下景子主演の芝居が近々にあるみたいで、そういや街のあちこちにポスターを観たなと、こういうところで公演すると、地方名士とかに終演後の接待で、えれえめにあうんだろうなと、妙な同情をおぼえた。

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