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2010年1月16日 (土)

ピカレスト・続々々々

ハンフリー・ボガードとローレン・バコールの初共演『脱出』(ハワード・ホークス監督、原作アーネスト・ヘミングウェイ)は、アクション映画ファンには物足りないかも知れないが、ボガードとバコールの存在感は、この映画の右に出るものはナイ。とくに傑出しているのはそのラストシーンだ。ネタバレとかいうのになるといけないので、書かないが、かの終幕は、いつか舞台でもやってみたいと思わせる。大概だけいえば、決死の場に、つまり生きてはもどれないだろうというところに、ピクニックにでも出かけるようにして、この映画は終わる。そのあまりの投げ出し方に茫然自失。いまの映画ならば、ここからくどく始まるのだが、それはやんない。まさにホークス監督の真骨頂だ。だから、この欄での主題めいたものと結びつけるならば、シーシュポスの下山も、そんなふうだったんだろうなと想像してしまうのだ。齢を重ねて、唯一の特権というものがあるとするならば、「反復」というものにこだわらなくてよくなったことだ。シーシュポスの刑罰もある意味では「反復」にみえて、「反復」を搾取されるところが、その刑罰たるゆえんなのだが、私にとっては、未来など、もう間近にみえているもので、これからのことなどとくにどうなってもかまやしない。これは投げやりにみえるかも知れないが、獲得した自由だとも抗弁出来るものだ。どこからもとやかくだけはいわれぬようにだけはしてきたつもりだから、アトは面々のお計らいとでもしておけば足りる。シーシュポスやボガードのようにはいかないが、躓き、引っくり返り、もん取り打って転がりつつも、ともかくは、「これでよしとするか」というふうに思いつつ下山している。

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