堕天使の失墜
まんず、『滑ってトル散乱するウミガメ』は、補足も含めて、ワカリヤスク手をいれたので、いま一度読んでいただければ幸いである。・・・さて、You cubeで、復帰した鬼束ちひろを観たのだが、(といっても、私は『トリック』の『月光』しか詳しくは知らんのだけど)その前に予備知識として、『Jポップの日本語』(見崎鉄・彩流社)からひろってみると、彼女の歌詞が難解なのは、著者によると、歌詞の意味が難解なのではなく、スキーマ(schema 思考の枠組み)が与えられていないということで、あるらしい。著者は、末尾に「いずれにしても、鬼束はもう少し言葉を磨くべきだろう」と注文をつけるが、私はまったくそういうふうには思わなかった。この女性歌手の自作の歌詞は、おそらく身体性から出てくるものではないか、と思っただけである。その身体性はまったく幻想のものなのだが、コトバに音楽性が殆どナイに関わらず、即興的な原始の音楽性を感じた。たぶん、それは彼女の幻想する身体性から表出されてくるものだ。で、You cubeを観たのだけど、ああ、なるほど、このひとは、最初は、汚れた世界に降り立った天使であるという思いだったのが、それを否定して、そうではなく堕天使であるというところへ、失墜してしまったなという感想である。ただし、その堕落の仕方が中途半端で、一生懸命なもんだから、観ているものとしては、あるやりきれなさだけが、伝わってくる。プロは、一生懸命なんかになっちゃアカン。とだけ、述べておく。
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