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2009年10月29日 (木)

滑ってトル散乱するウミガメ

『船酔いバッハ論』が『フォイエルバッハ論』(エンゲルス、1886年)の洒落だとは誰も気づかなかったようで、んなことぁ、どうでもいいけど、作者の筆遣いのマネをして、こういうタイトルで、コトバ、ココロ、量子力学を表現(私の場合は演劇だが、ここでは一般にでイイ)について、カテゴリー・サーフィンをやってみよう、という魂胆だ。とはいえ本家には及ばず、「滑ってトル」は「スペクトル」をひねくったモノなんだけど、ちと苦しいか。・・・おおまかにいうと、量子力学による物理量の測定過程を、いつもながらの置換法に依って、たとえば、都々逸みたいにして唄うと、~こころがことばで伝わるならば なんの苦労もあるまいに いったことばが 仇になる~、てなところかな。ここで、先に、ナニをどう置換するか、述べておく。測定の「対象→ココロ」「物理量→コトバ」「測定値→表現」「検知器→受け取る側」というふうにおおまかに置き換えてみた。「スペクトル」というのは、物理量の固有値(位置や運動量個々のこと)の分布だが、スペトクル分解として、測定の方法というふうに理解してもらっておけばいい。つまり、このスペクトル分解によって、物理量であるコトバがいかなる測定値(表現)として捉えられるかという、思考実験だ。たとえば、電子を例にとると、電子の物理量には固有値が二つしかナイ。プラスとマイナスだけである。したがって、その物理量を測定するのは比較的かんたんのように思える。この測定を一回だけ行った場合、必ず一個の測定値が得られる。これは物理量の固有値の一つだ。スペクトルというのは、固有値(ここでは電荷)の分布であるのだから、プラスが出るか、マイナスが出るかということになる。いま対象であるココロの測定を実験してみる。つまり「どういうココロなの」という対象の状態が知りたいワケだ。そのためにココロ(対象)は、コトバ(物理量)を発せねばならない。そうしてこれをスペクトル分解するのである。こうすることによって、得られる測定値は、「初期状態が決められる」というワケではなく、「初期状態を知る」ということになる。仮に「私だけが、あなたのこと好きです」という固有値と、「あなたのことを好きなひとはたくさんいます」という固有値という便宜上のコトバを発して測定することにしよう。量子力学がオモシロイのは、実はここからなのだ。-この項つづく-

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