ブロードウェイという道
これも観損ねた映画なのだが、DVDが出たのでさっそく借りてきた。『ブロードウェイ・ブロードウェイ』、いわずと知れた『コーラスライン』リバイバル(再演)のオーディションドキュメンタリーである。たしか3000人の応募者から16名を選出するそうで、私はもちろん、1975年から90年まで6137(6157だったかも)ステージをロングランした舞台も、再演(こっちは2006年10月から2008年8月までの759ステージだったというから、厳しいもんだなあ)のほうも観ていない。(映画版は観ているんだけど)で、実に編集が上手くて、オーディションでの男優の演技のシーンで、思わず落涙してしまったほどだ。ところが、そのアト、審査している演出家もまた眼鏡をはずして涙を拭き「泣いたのは30年ぶりだ。まさかオーディションで泣くとは」と映画は続くのである。なんつうか、ココロ打つ演技というのに国境はないなと、しみじみ感心した。というか、映画のヌケが良かったせいもあるんだろうけど、たしかにその男優は他の同じ役の同じ部分のせりふを語っている応募男優より、イイということはワカルのである。(つまりその程度の眼力は持ってると自慢したいワケ)いやもう、90分入れ込んでしまって、おではこっちのほうのがいいと思う、なんて競争しているライバルたちを勝手に選択審査したりして、そっちに決まると、おっ、やっぱりなんて、もうバカ丸出しである。・・・米原万里さんの『打ちのめされるようなすごい本』読了。打ちのめされました。『演劇学の教科書』うーん、なんかややこしい難しいこといってんだけど(いわゆるポスト構造主義に影響されてんでしょ)いってる内容は特に瞠目するほどでなし、いい尽くされて古くなったものを、新しい包装紙で包みなおした感じかな。米原万里さんのコトバを借りるなら「子供が夢中で読んでくれなくては教科書ではない」です。