喪主ラ・4
隣組というのは戦中のシロモノだから、最近流入の多い滋賀県などはどうなっているのか。少なくとも私の実家周辺では、ほぼ強制的に組に入れられさせるか、新しい組を作るかするらしい。たとえばアパート一棟が一組になっていたりする。いまでは町名のなくなった元町というのが頭について元町○組といったふうになる。これが13~14組あって1組が10人前後である。(ちなみに実家は6組)この組み割を私の父は丁寧に図面にして残す作業をしているから、さすがに死ぬ前まで葬儀委員長だったほどのことはある。この他、寺社関係への支払い(お布施など)事細かに残してある。菩提寺は信徒に対しては一日3万円、他宗派に対しては一日7万円で場所を貸す。住職へのお礼は20万円。脇僧が10万円、他経費(初七日など)が幾種類かに分類されている。これを寺への納棺時に住職に納めるのも喪主の仕事だ。さて、仮通夜の挨拶。そんなことはいきなり本番で脚本の類のナイ仕事であるが、こういうところで喪主への評価が定まる。私は咄嗟に緋牡丹お竜さんでいくことにした。(以下↑は語尾が上がる)「そのままお控えくださいませ。私↑北村○○長男、○○↑と申します。本夕は仮通夜弔問のみなさまにたいしまして、ひとこと↑お礼↑述べさせて頂きます」てなのを声を張らずに、ボソボソといくのである。手の甲と親指を畳について、やや尻を上げ、まあテキヤである。これで仮通夜はオシマイ。次は翌日の納棺となるが、これは葬儀屋の分担。ここで『おくりびと』をライブで観られるというラッキーな事態となる。・・・明日は東京の『アチャコ』を観劇に出掛けますので、このつづきは明後日でございます。
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