ひさしぶりになるが
池田晶子さんの『死とは何か』(毎日新聞社)、で、よくもまあ同じ内容で、さまざまな出版社の雑誌に書いて原稿料を稼いだもんだなあと冗談抜きで感服しております。とはいえ故人であります彼女の持ち味は、文中になんや知らんひとの名前を入れないということ。これ、インテリのどなたさんも最新のアメリカの哲学者○○によるととかやるのよね。香山リカせんせなんかはその最たるもので、何処ぞかの精神医学者の能書きが必ずはいってるもんな。ですからそのぶんはエライなと思いますわ。で、基本的には独我論で、死についてはハイデガーなんですが、全体としてはカントなんだなあと、無学な私が持った感想であります。依って、埴谷雄高論なんか書いてはるし、対談とかしてはっても合点がいくのであります。そりゃあ、おいおいそれを拡張するかと思うようなところも多々あるんですが、また論点論理に矛盾もけっこうあるような気がするのですが、それがなければ発展もなかったろうでしょうから、そこはそれほど突っ込みを入れるべきではナイ。まだ読み切っていないし、もう一冊『私とは何か』もあるので、またつづきはそのときに。