映画情報『スラムドッグ ミリオネア
このアカデミー賞作品が何故つまらなかったのか、ちょっとばかり考えた。で、要するにこの作品のテーマらしきものが、なんだタダのアメリカンドリームではないかと、自分なりに答えを出した。つまり「幸せは金と女」。もう少しいえば「巨万の富と美人」を手に入れるという、その主題に共感出来なかったのだ。たしかに映画はインド貧民街や少年少女の職業乞食を描く。とはいえ、インドのカースト制には何も触れない。何故、貧しいのかという疑問に問いかけも踏み込みもナイ。で、悪人は悪人でステロタイプに描かれ、そういう社会ではしたたかに生きるしかナイよというのだが、まあ、これをたくましく生きると善意に解釈しても、近年はインド市場がたくましいんだから、そのあたりにも触れていない、主人公の生きざまはまるで「やらせ」である。だから見終わってから、まあ勝手に幸せになって頂戴と、他人ごとになるのだ。ヒロインに対する一途な思いなんて、ふつう恋をすればあんなもんじゃないのかな。特にどうってこたねえな。この程度の日本映画はありそうな気がすんだけどなあ。

