ももたろうの10年
このあいだ塾で、10人の塾生に順繰りに『桃太郎』の話をやらせた。途中で私が質問を挟むのだが、まず一人目はお爺さんは芝刈りにお婆さんは洗濯に、で桃が流れてきて切ってみると赤ん坊が、とここまで。ここまではたいていは話せるのである。そのアト、桃太郎はスクスクと育っていきました、というところで、鬼退治に行くのだが、子供だから15歳以前、およそ10歳程度である。この10年、桃太郎はナニをしていたのか、について話せる者がなかなかいない。たいていの絵本でもここはハショッテある。桃が邪気を祓う果物であったとか、丑寅の方角が鬼門で、鬼が牛の角に虎のパンツをはいていたとか、お供の犬猿雉(酉)は方位であるとか、いろいろいわれているのだが、生まれたアトの10年、桃太郎がナニをしていたのかは、あまり知られていない。これはものの本に依ると、家でゴロゴロしていたらしい。しかも、近所の子供とは遊ばなかったとある。そこでみかねたお婆さんがお爺さんと一緒に山で働いてこいという。桃太郎は芝刈りなんか面倒臭いので、松の木だか杉の木だかを根こそぎ抜いて、ひょいと投げたら爺婆の家に落ちて壊滅したらしい。つまりそうとうな力持ちであったようだ。しかしまあ10年、ゴロゴロしていたことはたしからしい。金太郎は大江山酒呑童子を退治した仲間の一人であるから歴史上の人物なのだが、こっちはゴロゴロとはしていなかった。ま、そんだけのことだけど。|
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